退職前でも有給休暇は取得できます。会社が取得日を別の日に変更できる場合でも、退職日より後へ移すことはできません。
「引き継ぎが終わってから」と断られたら、残日数・休みたい日・退職日を一枚にまとめ、その内容で申請して会社の回答を残しましょう。話が進まなければ、その記録を持って無料の労働相談窓口へ相談できます。
1.有給の残日数と、期限が切れる日を確認する
勤怠システムや給与明細などで、今使える有給の残日数を確認します。分からない場合は、人事や給与担当者へ「退職日までに使える有給は何日ですか。いつ付いた分が残っていますか」と聞いてください。
- 今の残日数と、すでに申請している日数
- 前年から繰り越した分の期限
- 退職日までに新たに有給が付く予定があるか
有給の権利は原則として付与された日から2年で時効になります。前年分が残っていても、退職日まで使えるとは限らないため、付与日も一緒に確認しましょう。
パート・アルバイトも有給の対象になる
入社から6か月継続して働き、全労働日の8割以上出勤していれば、パート・アルバイトも有給の対象です。付く日数は、勤続年数や所定の勤務日数などで変わります。
週30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下の人などは、勤務日数に応じて有給の日数が決まります。週以外で勤務日数を決めている場合は、年間の所定労働日数を確認します。週30時間以上、または週5日以上働く人は、短時間勤務という理由だけでこの少ない日数の扱いにはなりません。
2.最終出社日と退職日を分けて、有給を申請する
最後に出勤する日と、雇用契約が終わる退職日は別です。退職日までの勤務予定日を数え、有給にしたい日を具体的に書き出します。会社の休日は有給の日数に数えません。
| 決めること | 確認する内容 |
|---|---|
| 退職日 | 雇用契約が終わる日 |
| 最終出社日 | 引き継ぎや貸与物の返却をする最後の出勤日 |
| 有給の取得日 | 退職日までの勤務予定日のうち、休暇を申請する日 |
就業規則で申請先と提出方法を確認し、メールや社内システムなど、内容が残る方法で申請します。「残りを全部」だけではなく、取得日と合計日数を伝えましょう。
件名:退職前の年次有給休暇の取得について 退職日は○月○日を予定しています。 有給休暇の残日数は○日です。 ○月○日から○月○日までの勤務予定日、計○日について、年次有給休暇を申請します。 引き継ぎは○月○日までに、担当業務の一覧と資料をお渡しする予定です。 ご確認をお願いいたします。
文例の日付・日数・引き継ぎ内容は、自分の予定に置き換えてください。口頭で伝えた場合も、後から同じ内容をメールなどで残しておきます。
退職の申し出から日程を考える場合は、退職手続きと引き継ぎの流れも確認できます。
3.断られたら、理由と変更先の日を確認する
有給は、原則として労働者が指定した日に取れます。会社が取得日を変えられるのは、事業の正常な運営を妨げる場合です。この日程変更を「時季変更権」といいます。
「忙しいから無理」と言われた場合は、どの業務に支障があるのか、代わりにいつ取れるのかを確認します。「認めない」という回答だけなら、その言葉も日時と一緒に記録してください。
退職日より後には有給を移せません。退職までに残った有給を使う申請について、変更できる別の日がない場合は、会社は時季変更権で取得日を変えることができません。引き継ぎを理由に退職日の延期を頼まれても、応じるかどうかは労働者が決めます。
話し合いが進まない場合は、申請の控えと会社の回答を相談窓口へ見せてください。
話が進まないときの無料相談先
| 相談先 | 使い方 |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー | 有給や退職をめぐる相談を、面談または電話で受け付けます。利用無料・予約不要。近くの窓口と受付時間を公式案内で確認してください。 |
| 労働条件相談ほっとライン | 0120-811-610。通話料無料で、匿名でも相談できます。日本語窓口は平日17〜22時、土日祝9〜21時(12月29日〜1月3日を除く)。 |
相談前に、入社日、退職予定日、有給の残日数、申請内容、会社の回答をそろえます。すべてそろわなくても、分かっていることから伝えて構いません。受付時間は利用前に公式案内で確認してください。
会社へ自分で連絡することが難しく、代行も検討したい場合は、退職代行の運営主体・対応範囲・料金の違いを確認してください。有給などの交渉を頼む場合は、実際の担当者と対応範囲の確認が必要です。
よくある質問
- 有給が残っていても、退職すると使えなくなりますか。
-
退職日を過ぎると、その会社の有給は使えません。残日数だけでなく、退職日までに勤務予定日が何日あるかを数え、早めに取得日を申請しましょう。
- 余った有給をお金に替えてもらえますか。
-
会社に、余った有給を必ず買い取る義務があるわけではありません。ただし、退職時に残った分は、休暇の取得を妨げない範囲で会社との合意により金銭精算できる場合があります。就業規則や会社の制度を確認し、対象日数と金額を書面で確かめましょう。
- 会社から退職日を延ばしてほしいと言われました。応じる必要はありますか。
-
引き継ぎのための退職延期の打診に応じるかは、労働者が決めます。転職先の入社日など自分の予定を確かめて判断し、変更に合意した場合は、新しい退職日と有給の日程を記録に残しましょう。
- 会社が申請に返事をしない場合はどうすればよいですか。
-
申請した日と内容が残っているかを確認し、担当者へ回答を求めます。退職日が近い、取得を認めないと言われ続けているなどの場合は、申請の控えを持って労働相談窓口へ早めに相談してください。
参考・出典
退職時の有給の買い取りと時季変更について、福岡県「労働者のための労働に関する基礎知識・年次有給休暇」と福井県労働委員会「有給休暇の付与と時季変更権」を2026年9月11日に確認しました。

